中学校 理科 3年 【琵琶湖の生態系をどのように捉えるべきなのか?】
「固有種と外来種=善と悪」なのか? 未来の琵琶湖の姿を考える
立命館守山中学校
國領正博
シンキングツールを使った授業例
この授業では琵琶湖の生態系から「固定概念を知識から崩す」展開としました。
https://gyazo.com/fe99805c04012950a43cad7da39ef044
まず、私の考えるシンキングツールの効果については次のように考えています。
考えるための材料を引き出して「具体化」するとともに「構造化」したりすることから始めます。
次にツールを切り替えることで「新たな視点」に気づかせて、自身の新たな思考成果を表現するという展開を意識しています。
https://gyazo.com/edad6b29c5c709b8a3cc5948535f217b
今回の授業では、
展開1で「固有種・外来種」という一般的な知識を整理し
展開2で「固有種保護」という一般的な概念を確認し
展開3で「固有種の多くが外来由来」という事実から既成概念を見直す
展開4では自身の考え方について根拠を示して表現する
という展開を計画しています。
https://gyazo.com/874039a2ffda6968deaa79e78a7e9540
詳細は以下の通り
展開1(具体化する)
琵琶湖にいる生物を例に固有種と外来種について分類する
琵琶湖の固有種と外来種について、産卵場所などの生態や人の生活とのつながりを調べて書き出しながらYチャートの中で分類をする
Yチャートで生物群を「固有種」「外来種」に分類する。ここでは動的にシンキングツールを使っています。
https://gyazo.com/4251c65e0d7616efa332f60f7d113c3e
展開2(構造化する)
固有種と外来種の現在の関係についてまとめる
固有種と外来種の量的関係を昔と今の状況を、ピラミッドチャートに落とし込む。
シンキングツールを「ピラミッドチャート」に切り替えて(2回)、「昔」と「今」の生物ピラミッドを描きます。
「昔」の状態を「善」とする思考傾向が生まれやすくなると考えています。
https://gyazo.com/c2bd565729157cf5945294c2992629c4
展開3(多角的に見る)
理想とするはずだった「固有種の保護」という常識を崩し、未来の姿を自身の価値観をもとに捉え直す
ミジンコやニジマス、コイ、イワナ、ワカサギ、メダカについて調べ、外来種であることを知った上で、
あなたが望む未来の固有種と外来種の関係をピラミッドで表現する。
「固有種の多くが外来由来」という事実から既成概念を見直すきっかけとします。
時間軸に各カードを置いたときに、「固有種・外来種」という概念が「近い昔」を基準にしたものであることに気づく。
その上で、展開2でおこなったツール切り替えをもう一度行い、「未来」の生物ピラミッドを描きます。
https://gyazo.com/ad13cf0f1127a8d3eb3dd1a4ff708daf
展開4(理由付ける・見通す)
展開3で考えた「未来のピラミッド」について、根拠を持って表現する
固有種・外来種を駆除や共存・保護する具体的な方法について考える
これまでの価値観から、新たな視点をもとに未来のあるべき姿について自身の考えを明らかにします。
クラゲチャートを使うことによって根拠を明確にします。
https://gyazo.com/2c09ec558472a71e66ee7d4e3a1ba907
明確な解がない課題であり、どの解が正解かもわからないが、この授業では学習内容をもとに「自分の望む未来を描く」こと、それに根拠を肉付けすることで他を説得することができる発表につなげたい。
<参考サイト>
琵琶湖に固有な魚たちの歴史
外来魚駆除対策事業
日本のミジンコ、実はアメリカ外来種だった
淡水魚図鑑(外来種)